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■AIによる概要(2026/09/26 更新)
QualcommとAppleをめぐる一連の動きは、スマートフォン向け通信半導体と標準必須特許(SEP)をめぐるライセンスビジネスのあり方を問い、独占禁止法、半導体供給、5G、自社製モデム開発などにも波及した、長期にわたる知財・競争法上の重要事例である。
発端の一つとなったのは2017年1月、米連邦取引委員会(FTC)がQualcommを反トラスト法違反で提訴したことである。FTCは、スマートフォン向けモデムチップ市場におけるQualcommの地位と特許ライセンス慣行などを問題視した。これに続いてAppleもQualcommを提訴し、特許使用料が不当に高額であるなどと主張した。
これに対してQualcommはAppleを反訴。さらにAppleがQualcommへのロイヤルティー支払いを停止すると、QualcommはAppleの製造委託先を提訴したほか、特許侵害を理由として一部iPhoneの輸入・販売差し止めを米国際貿易委員会(ITC)などに求めた。
争いは米国だけにとどまらず、中国やドイツなどにも拡大した。中国では一部iPhoneについて販売差し止めが命じられ、ドイツでも一部機種の販売が実際に停止されるなど、特許訴訟がAppleの製品販売に直接影響する事態となった。
この紛争にはIntelも深く関係した。AppleがQualcommへの依存を減らし、iPhoneのモデムチップにIntel製品を採用する動きを強める一方、QualcommはAppleが自社の企業秘密をIntelと共有したなどと主張して提訴した。2018年にはiPhoneからQualcomm製モデムが姿を消し、Intelが主要な供給元となった。
また、QualcommがAppleとの訴訟や各国の競争当局による調査に直面していた時期には、BroadcomがQualcommに対して巨額の買収提案を行った。これにより、Apple対Qualcommという二社間の知財紛争は、半導体業界の再編や5G時代の主導権をめぐる動きとも密接に結び付くことになった。
2019年3月には、米国の特許侵害訴訟でAppleによるQualcommの特許侵害が認定されるなど、両社の法廷闘争はさらに激化した。そして同年4月、特許使用料をめぐる大型訴訟の審理が始まった直後、AppleとQualcommは突如として全面和解を発表した。
両社は世界各地で争っていた訴訟を取り下げ、AppleからQualcommへの支払い、6年間のグローバル特許ライセンス契約、QualcommによるAppleへの複数年のチップ供給契約などで合意した。ほぼ同時にIntelはスマートフォン向け5Gモデム事業からの撤退を発表し、Appleが5G対応iPhoneを実現する上でもQualcommとの関係修復が重要な意味を持つことになった。
一方、Appleとの紛争が終結した後もQualcommのライセンス慣行をめぐる独禁法問題は残った。2019年5月には米連邦地裁がQualcommのビジネス慣行について独禁法違反との判断を示し、Qualcommはこれに反発して控訴する方針を示した。
その後、Appleは自社設計のセルラーモデムの開発を進め、Qualcommへの半導体供給面での依存を減らす方向に動いた。しかし、両社の取引関係は継続し、2023年9月にはQualcommがAppleへのSnapdragon 5Gモデム供給契約を延長。2024年、2025年、2026年に発売されるスマートフォン向けにもQualcommがモデムを供給する契約が発表された。
そして2026年9月、QualcommとAppleはグローバル特許ライセンス契約を更新した。新たな契約は2027年4月1日から発効する。契約期間やライセンス料などの詳細は公表されていない。
2019年の全面和解で締結された特許ライセンス契約は、当初6年間で、2年間の延長オプションが設けられていた。この延長によって契約は2027年3月31日まで継続しており、今回の新契約はその翌日から発効することになる。
ここで重要なのは、今回更新されたのが「特許ライセンス契約」であり、Qualcomm製モデムの「供給契約」とは別である点である。Appleが自社製モデムへの移行を進め、Qualcomm製モデムへの依存を減らしていくとしても、Qualcommが保有する通信関連特許のライセンスという両社の関係は継続することになる。
2017年に全面的な法廷闘争へ発展した両社の関係は、2019年の全面和解によって大きく転換した。その後、Appleは自社製モデムの開発を進めながらもQualcommからモデムの供給を受け、さらに2026年には2027年以降の特許ライセンスについても契約を更新した。
この一連の動きは、単なるAppleとQualcommの特許紛争ではない。標準必須特許を含む通信関連特許のライセンス、半導体と特許を組み合わせたQualcommのビジネスモデル、独占禁止法、iPhoneの部品調達、Intelとの競争、Broadcomによる買収提案、5Gへの移行、そしてAppleによる自社製モデム開発が複雑に絡み合った事例である。
さらに、Appleが自社製モデムへの移行を進める一方で、Qualcommとの特許ライセンス関係を2027年以降も継続することになった点は、「半導体の供給」と「特許のライセンス」が別個の関係であることを改めて示している。
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